北海道リベンジ<4日目>脱獄

2017年12月14日木曜日

2014.07北海道

t f B! P L
網走の朝は寒い。
いくら夏とは言え、北海道の北東部。
布団から出られず、見事に二度寝をかましてしまった。


朝食をご用意してあります。
と聞いて食堂に降りてみるとパンが一個置いてあった。
大きめのレーズンシュガーパン。
これに駅前のローソンで買っておいたものを合わせて朝食とする。
7時半頃、宿を出る。
こうして明るい時間帯に見てみると、昨日はなんとなく怖く感じた建物の印象も違って見える。
例の踏切は…
これはこれで怖いような気もする。
統合失調症の家ってこんな感じじゃない?
さて、ここからは自転車で移動する。
駅にコインロッカーがあるので、荷物も預けておく。
今日も快晴。
毎度のことながら、北海道の道路は広いし交通量も少なくて走りやすい。
いつかロードバイクとかで走ってみたいなあ。
駅から3kmほどで網走刑務所に着く。
さっそく物々しい看板の数々がお出迎え。
なんとなく緊張してくる。
ここに来るまで勘違いしていたのだが、網走にはいまも現役の「網走刑務所」と、当時の監獄を移築復元した博物館の「網走監獄」の二つがある。
てっきり後者だけなのかと思っていた。
そう考えると、観光目的でこんなところに来るのは少々不謹慎だったかもしれない。
正面からカメラを構えると、看板に書かれていた禁止事項に触れるおそれがあるため、斜めからのアングルで写真を撮る。
正直、正面に立つのも気が引ける。
建物の正面には刑務作業品の展示場があった。
が、あいにくこの時は営業時間外で、しかも中も見えない仕組みだった。
残念。
刑務所というと、もっと殺風景で殺伐としているという印象があったが、少なくとも正門前はきれいに整備されていた。
出所して最初に見るのがこの花壇であれば、少しは心も和らぐんだろうか。
すぐそばには集合住宅。
さすがに刑務所前に住むのはなあ…と思ったけど、職員とか刑務官の宿舎なんだろうなぁ。
さて、刑務所は本当に観光なんかしていい場所じゃないので、博物館のほうに急ぐ。
ここもまた走りやすい。
というか誰もいない。爽快感はあるがやっぱり物寂しい。
そこそこの坂を登った。
とても駅から徒歩で行ける距離ではないが、バスの本数もこれまた少ない。
やはり折り畳み自転車が最強だったか…
などと息巻いていたら、なんかすごいガチ勢の自転車が止まっていて、萎縮してしまった。
よく見ると断熱シートやテントまである…
総重量どんくらいあるんだろう?
北海道はツーリングの聖地らしく、やはり大型バイクが多い。
あぁいうのならテントとか積んでも余裕そうだよなあ 。
監獄入り口。
看守と囚人の人形が出迎える。
全体的にレンガ造りで趣がある。
一番手前にあったおみやげコーナーでは刑務作業品を売っていた。
うーん、確かに安いんだろうけど、その「お買い得!」というポップはなんとかならんのか。
このキティちゃんダルマも、なんだか…
こういうのを囚人が作ってると思うと微妙な表情になる。
これは「休泊所」。
明治24年に網走から札幌までの道路を開拓した際には、作業して、寝て、解体して運んで、組み立てて、作業して…という繰り返しだったらしい。
タコ部屋の原型とも書いてあったが、さしずめタコゲルって感じだ。
試される大地北海道では、刑務作業として農業を課されることが多い。
それは昔の網走監獄時代も同様だったようで、様々な農具が展示されていた。
余談だが、祖父は百姓だったので、裏の倉庫にこういうのがゴロゴロしていたのを思い出した。
子供の頃に戻ったようで、なんとなく懐かしい気分に浸ることが出来た。
さて、ここからが網走監獄のメインになる。
まずは現代の刑務所から。
廊下がこんな感じになっていて、窓から中を覗くことが出来る。
あれ?結構いい部屋じゃない?
これぐらいだったら快適に住めそう。
児童養護施設もこんな感じだったなあ。
本棚には普通の書籍も何点かある。
捕まることへのハードルが下がった。(そうではない)
こちらは一人部屋。
奥の衝立の向こう側はトイレになっている。メシ食う部屋でうんこするのは嫌だなあ…
しかしこれ、四畳もあるんだが、これ山谷や西成のドヤより大分マシなのでは?
さてここから先は昔の"監獄"エリア。
廊下の中央にあるのは石油ストーブ。
ここから近い牢、人気ありそう。
扉はすべて木造。
これで昭和50年台もまだまだ現役だったと言うから驚きである。
これら舎房は、この中央見張(監視小屋)から放射状に5本伸びている。
これにより、実に効率的な見張りが出来るような仕組みとなっている。
一応パノラマ写真も撮ってみたが、いまいち分かりにくい。
次に、受刑者の生活コーナーに移る。
刑務所でもお正月は特別な献立が出てきますよ、というアレ。
結構前にホリエモンがそんなことをテレビで喋っていた気がする。
意外とまっとうなおせち料理だったので、正月を塀の中で過ごしたほうがオトクな人もいるというのは、まんざら冗談でもないかもしれない。
これ、今回の展示で一番シュールだった。
ここでは、円になって集まった囚人たちの真ん中で、鳩がグルングルン回り続けているのを見ることが出来る。

網走監獄が出来たのが明治29年、それから昭和12年までの約40年間ものあいだ、電話が開通していなかったそうである。
その間、通信手段として用いられていたのが、伝書鳩だった。
というわけらしいのだが、ただただ絵面が面白い。
これを見るためだけに網走に行って欲しい。
また別の館では、受刑者の数々の作品を見ることが出来る。
書、絵画、彫刻…どれを見ても本当に見事なものばかりだった。
これだけ創作活動に打ち込める環境はちょっと羨ましい(まだ言うか)
さて、一番楽しみにしていたのがこの「監獄食堂」。
現在の網走刑務所で、実際に服役者に出されている食事を再現しているという。
一般には「クサい飯」とも言われるが、それは昔の話だとも聞く。
食堂はおもったより広く開放感がある。テレビと雑誌も置いてあり、あまり観光地という気はしない。
ホッケ定食とサンマ定食があり、迷った末にサンマにする。
なんと贅沢な。
受け取ってみると、予想以上に立派な定食だった。
ご飯は白米と麦を混ぜたもの。
しかも副菜も添えて栄養バランスも良い。
そしてメインのサンマだが、ひとくち食べてみて本当にびっくりした!
内地で食べてきたものとは明らかに違う。ものすごい脂の乗りよう。
さすが網走、刑務所で提供される魚までこんなに美味いのか…
いや実際には分からんが、このへんで採れたものを使用しているのは間違いないだろう。
ほんとうに満足した。
さて、網走監獄を脱獄し、もう一度駅方面に戻る。
網走駅は海の近くにあるが、網走監獄は山の方向にある。
せっかくなので、この目でオホーツク海も見ておきたい。何かがあるとは思わないけど、何かと海に行きたい習性があるらしい。
海まではほぼ一本道。
今日はなんと26℃まで気温が上がっている。 
朝晩は冷えるが、真夏だと網走でもこんなものなのか。
町並みが完全に昭和だった。
結構広い道路沿いなんだけどなぁ。
海が見えてきた。
やたらと大きな客船も見える。
あのへんが網走港なんだろうか。
さて、海まで来た。オホーツク海を見に来た。
来たが、ただそれだけだ。
予想通り何かがあるわけでもなかったし、だが、それがいい。
網走はこれにて終了。
今日の宿は摩周、これは網走と釧路の中間あたりにある。
時刻はまだ昼過ぎで、時間にはだいぶ余裕があるので、どこかに立ち寄りたいところだ。
と考えていると、「原生花園駅」に到着した。
駅名からして素敵なので、下車してみることにする。
コインロッカーも何もない小さな駅なので、荷物を適当に繋いで放置しておく。
※不審物扱いされたり、虫が集ったりするのでオススメしません
駅舎はコテージ風で、北海道の地に似つかわしい可愛いらしさ。
なのに、そのフォントはなんとかならなかったのか。
中からお化けとか出てきそう。
中ではお化けではなく、スイーツを売っていた。
にんじんケーキ、苺マフィン、シフォンケーキなどが揃っている。
隣駅に本店があるらしく、苺を中心に取り扱っているらしい。
暑いし折角なので、苺ジュースを買ってみた。
注文したところ、その場で生のいちごをミキサーにかけてもらえた。
うまい。
駅から南を向くと、遠くに水場が見える。
おぉ、これが釧路湿原!!と興奮したが、あとで調べたところ、ただの湖だった。
北側はオホーツク海。
釧網本線は、網走駅から知床斜里駅までは海沿いを走っている。
遊歩道を通ると海まで行くことが出来る。
さすがにこの季節だと花はそんなに見られないかな…
鳴り砂浜ということなので、裸足になって歩いてみたが、特に音はしない。
で、よく読んでみると「西へ4k東へ10k」と書いてあった。
なんだここじゃねえのかよ。
しかもなんだその昔のドラクエみたいな案内は…
足が砂だらけになって損した、と思ったら足洗い場があった。
井戸?砂浜にも掘れるもんなのか。
駅から少し離れたところには、道の駅的な施設があった。
なんと無料のレンタサイクルもあった。
田舎はおおらかだな。
ここらは珍しい動植物も多いらしく、随所に手書きの展示がされていた。
うーん、味があるというか…
二時間くらいの暇つぶしになった。
やっぱり海はいい。
次は春に来たいなあ。
なんと運転見合わせになってしまった。
これだからJR北海道はなぁ。
不幸中の幸いというか、「川湯温泉駅」という何かありそうな駅で止まったので、下りて散策することにした。
駅には立派なカフェが。
北海道ってたまにこういうのあるけど、業務委託駅とかなのかなぁ。
更にはカフェだけではなく、あの駅名だけあって、駅舎内に足湯があった。
この足湯が本当に熱くて、入るのに数分かかった。
隣に白人のオッサンがいて、「アー!アツーイ!ハイレナイ!」「ハイレナイヨー」と叫んでいたのが忘れられない。
湯温は46℃と書いてあったが、もっとあったのでは…
午後5時頃、摩周駅に到着。
さっきまでの駅よりはずっと規模が小さい。
そしてまたしても駅前に足湯が…
摩周駅とは言え、ここから摩周湖は結構遠い。
今回はそこまで行かず、数キロ離れた宿まで自転車で向かう。
こんな道をひたすらまっすぐ進んでいく。
曲がるのは一回だけなのだが、困ったことに目印が全くない。
公道、農道、私道の区別もつかない上に電波も入らないため、結構道に迷ってしまった。
看板も小さく、危うく通り過ぎてしまうところだった。
建物も道から奥まったところにあるので、少々見つけづらい。
今夜はここひとつぶの麦に一泊する。
見た目は普通の一軒家。
こういうタイプの宿に泊まるのは初めて…かと思ったけど、一度だけ美馬牛で行ってるんだっけ。
あの時はもう深夜だったからなあ…

宿泊客は自分含めて三人のようだ。
さすがにこんな小さい自転車で来てるバカはおらんな。
そ、そして遂にこの時が来た、、、
ゲストハウスで雑魚寝、少し緊張する。
しかし、二食付き一泊で3000円という価格設定は非常に魅力的だ。
その夕食もオーナー手作りで、ものすごい量が用意されていた。
リビングでみんなで卓を囲むというのも初めての経験。
ハーレーおじさんたちと盛り上がり、自分に意外と社会性があったことに驚いた。

やることもないので、10時過ぎに就寝。

網走1325-1349原生花園1451-1645(1715頃)



しかし、久々に写真盛りだくさんの記事を書いてみたけど…
なんだか、これはこれでバランスが悪い気もする。
次回からはもっと写真を削って、文章多めにしようかなぁ。

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