北海道リベンジ<2日目>不幸と幸福

2017年12月2日土曜日

2014.07北海道

t f B! P L
昨日は22時過ぎに寝たこともあり、6時半頃にスッキリと起床することができた。
宿は本館ー離れのような構造になっており、コテージから一度屋外に出て、本館に行く必要がある。

「本館」とは言っても、これも小さな建物で、ちょっと広めのリビングと受付があるくらいだ。
その建物とコテージの間に、カメラを持った兄ちゃんがいた。同じ部屋に泊まった客だった。
朝の挨拶をすると、厳しい顔でシッと人差し指を口の前に添えたかと思うと、今度はニヤニヤしながら手招きされた。
怪訝に思いながら近づくと、その兄ちゃんの正面にある背の低い木、ちょうど目の高さのところで、エゾリスが木の実をかじっているところだった。

高校の頃、窓から外を眺めると、木々の合間にタイワンリスが見えることが年に一度はあった。しかし、これだけ間近でリスを見たことはなかった。
「エゾリス君の宿カンタベリー」その名の通り、ここは可愛いエゾリス君と出会える場所だったのだ。
昨日のキタキツネといい、北海道は野生動物が都会よりもずっと身近なのだと実感した。

その兄ちゃんと朝飯を食いながら、自分らがどういう旅をしているか、という話になった。
話を聞く限り社会人のようだが、十連休が取れたので北海道全土を一人で回っているということだった。この時期にそんなに休める仕事があるのか?
移動手段はレンタカーだと言う。そっちの鉄道旅に比べたら自由度は高いけど、ガス代がね、と言って苦笑いする。町から町が遠いうえ、どの一般道も高速道路のように走れるので、一日何100kmも進んでしまうというのだ。
今日も釧路の方まで行くらしく、慌ただしく荷物を詰めて行ってしまった。
こちらもそろそろ準備せねば。

ここ中札内は、帯広駅から南に向かって、国道沿いにまっすぐ30kmくらい離れたところにある。
宿から5kmくらい帯広方面に戻ると、「六花の森」がある。
ご存知、北海道お菓子メーカー「六花亭」の所有する、広大な庭園である。

快晴の空の下、折りたたみ自転車で六花の森へ向かう。
普段は10時だが、夏季は9時にオープンする。
5分前に門の前に到着すると、ちょうど観光バスが二台来たところだった。
まあ揃いも揃っておばさま方が出るわ出るわ。
添乗員の話によると、一時間後に集合だそうだが、この広さで一時間では余裕を持って楽しめないのじゃなかろうか?

森では色とりどりの季節の花が楽しめる。
ちなみに、「エゾリンドウ、ハマナシ、オオバナノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイ」を「十勝六花」と言うらしい(記事を書いてる時に知った)。
といっても植物にはあまり造詣が深くないので、「キレイダナー」と小学生並みの感想を漏らすことしかできない。
この日は30度を超える暑さだったが、順路には木立ちもあり、小川も流れ、また北海道を代表する芸術家たちの作品館がそこここに建っているため、涼しさを享受することも出来る。
中でも良かったのは、坂本直行の「花柄包装紙館」だった。まぁ、六花亭のお菓子、食べたこと無いんですけどね…

というわけで、出口のショップでマルセイバターサンドを購入。
お土産ではなく、自分で食べる用である。
そんなにじっくり見て回った実感もなかったが、気がつくと2時間が経過していた。あのおばさま方は果たして1時間で満足できたのだろうか…

さて、満足したのでバスで帯広駅に戻ることにする。
時刻表を見ると、30分ほど待ち時間があるようなので、先程のマルセイバターサンドを口に入れる。
うん、これは…濃厚なバターの香り、しっかりとしたレーズンの味が口中に広がる。
ちょっと濃厚すぎたのでコーヒーのお供にちょうど良さそうだった。
ちょうど1パック食べ終わったところでバスが来る。
さて、このバスは別名「広尾線」と言うのだが、実は元々、国鉄の広尾線(帯広~広尾)が走っていた区間をそのままバス路線に転用したのである。
広尾線は昭和の末に廃線となってしまったが、駅舎などの遺構は現在も残され、観光名所として広く知られている。

…という事を知らずに車内でボケーッとしていると、「次は幸福…幸福です」とのアナウンスが聞こえてきた。
幸福?すげぇ名前だなあ…いや、なんか聞いたことあるな…

あ、あの「幸福駅」か!!??

と気付き、慌てて降車ボタンを押す。汽車の時間など知った事か!
これはなんと奇跡的に携帯で撮ってたため残っている一枚。
見えづらいが「幸福」の文字が書いてある。

バス停から幸福駅までは近く、観光客がひしめき合っていたため、すぐに場所がわかった。
駅舎がぽつんと建っているだけかと思っていたが、売店やプラットホーム、当時使われていた車両まで展示してあり、なかなか見ごたえのある観光スポットだった。
中でも一番目を引いたのはマスコットキャラである。

最近こういうの流行ってるよね…いや俺は良いんだけど、こういうのに抵抗ある人って多そうだし、どうなの?いや俺は良いんだけどね。うん。

幸福駅舎の壁は名刺でびっしり。ふと、大学の近くにこういうラーメン屋があったな…と思い出す。
いい記念なんだろうな、とは思うが、光の具合のせいか、自分には呪符か何かのように見えてしまい、単純に怖かった。
あと、幸福駅は幸福駅という名前なので、若いカップルが多くてヘイトが溜まってしまった。こいつら国鉄って言葉知らなさそう。

さて、今度こそ帯広駅に戻る。そろそろ昼食にせねば。
帯広と言えば豚丼…去年は夜遅くて閉店してしまっていた「ぶた丼 とん田」に向かう。
駅から2,3kmあるため、バスかなにかを使う必要がありそうだ。僕は自転車ですけどね。

昼時なので、店の前には人がそこそこに並んでいる。
しかし回転が良いのか、程なくして席につくことができた。
当時は若かったので、何も考えず「肉飯マシ」を頼む…がこれが中々に手強かった。
何がつらいって、多いのは一向に構わないのだが、良くよく考えたら汽車の時間が割とヤバかったので、ろくに味わわず無理してかきこむ形になってしまった。
このへんの詰めが甘い。

帯広駅では、去年の事件でお世話になったセブンイレブンの店員さんと再会することが出来た。
大丈夫です、今回は何もなくしてませんよ!(今のところは)

さて、今日はここ帯広から旭川へと向かう。
帯広と旭川は、ともに北海道の中心の南と北に位置している。
となれば、そのまま真っ直ぐ北上すれば早そうなものだが、実は特急で札幌を経由したほうが早い。
それでも4時間以上かかるのだからたいしたものである(何が?)
スーパーおおぞら、スーパー宗谷を乗り継ぎ、ついでに睡眠もとっておく。

夜7時過ぎ、旭川駅に到着した。
実はここで人と待ち合わせをしている。
自分が会社を辞めたのは二年目の夏、これは同期の間で2番目なのだが、一年目の冬に早々に辞めた同期が、ここ旭川にいるのだ。
ちなみにそいつは新人研修で最も優秀だったグループのリーダーをしており、自分はその研修全体のリーダーだった。ざまあ見やがれという気持ちでいっぱいである。
そもそも「毎朝午前5時に起床し、ロビーに集まって隊列を組み、大声で社訓を絶叫する」ことの何が仕事に役立つのかサッパリ分からない。ここにいる二人が、あの研修での成績など全く意味がなかったことを証明している。

久々に会ったそいつは実に良い表情をしていた。
元々北海道の田舎の生まれで、登山、クライミング、釣り、カメラなどを趣味としていた人間が、いきなり神奈川に来て不動産屋をやるんだから、そりゃあ肌に合うわけがない。
こっちでは自分の趣味に直結する仕事に就いており、休みの日には山や川に遊びに行くそうだ。
ウンウン、そういうのが人生だよねと、こっちまで嬉しくなってくる。
彼は本格的なアウトドア派で、恐らく僕とは性質の違う人間なのは確かなんだけど、会社の悪口を言うだけで本当の仲間になった気がしてくるから不思議である。

彼の運転する車で旭川の「焼肉・牛ホルモン 天」で肉を焼きつつ、同期に電話して「イェーイ仕事辞めました~」と代わる代わる煽るなどした。
その後は「高砂温泉」 の露天風呂で星を眺める。
おおよそ毎日こういう生活をしているらしい。羨ましい限りである。
いわゆる「最低でも三年」神話に囚われていたら、こういう人生は望めなかったことだろう。

午前1時、きれいな夜景が見える場所があるというので、連れて行ってもらう。
旭川駅から少し離れた「嵐山展望台」である。
この日は晴天かつ満月だったため、街の光が際立っていたわけではないが、周りが暗かったので本当によく夜景が見えた。
北海道は光の少ない高台がそこら中にあるため、夜景を見ることは容易なのだそうだ。
いいですね…ちなみにこれも携帯で撮ったやつです。

宿は彼の家にご厄介になることになった。
なぜかまだ家にあったという名刺を飛ばして遊んだり、社名の入ったシャツを着て記念撮影するなど、散々不道徳なことをし、2時頃眠りについた。

明日こそ美瑛リベンジするんだ…



帯広1507-1744札幌1749-1912旭川

キリ番ゲッター

ブログ内検索

QooQ