日本縦断<4日目>皿の中にあるもの

2018年1月23日火曜日

2015.08日本縦断

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風邪をひきました。
二人揃って風邪ひいてなんで九州回ってるんだろう…
やっぱり体調を治すのには"アレ"しかないな…
10時ごろ、指宿温泉に向けて出発。
バッチリ快晴。気持ちのよい海沿いをずっと走っていく。
途中通過した喜入あたりは、鹿児島湾に新日本石油基地がズラリと並んでおり、なかなかの壮観だった。
指宿で有名な砂むし温泉は、ちょうど到着したお昼時だけ営業していなかった。
うーん、運が悪い。早く風邪治したいんだけど。
仕方ない、温泉は後回しにしようということで、近くの池田湖に立ち寄る。
湖というと富士五湖なんかはよく行くが、あそこらへんよりは鄙びていた。
しかしここは立派なカルデラ湖で、ほぼ綺麗な円形をしている。
広々とした雰囲気と、澄みきった水質が印象的だった。
「世界一うなぎ」という看板も目立つ。
ただ廃墟と化してしまった小屋も多く、おそらく昨今の漁獲高低迷の影響だろう。

廃墟に来ると、中を覗いてカレンダーの日付を見るのが癖になっている。
ここがどうだったかは残念ながら忘れてしまったが、それでだいたい人が立ち退いた時期がわかる。
池田湖というと、UMAの「イッシー」が有名らしい。
え?イッシーって石狩湖じゃなかったっけ? 年末の超常現象バトルで言ってた気がしたけど…
と思って調べたら全然池田湖だし、なんなら石狩湖というのは存在しないっぽかった。なんなんだ。

湖畔をうろついていると、道の向かいに立ち並んだ土産屋のオヤジたちが、獲物を見るような目つきでこちらを見ている。
そりゃそうだよなぁ、あんまり観光客もいないし、必死だよなあ…
でもそんなに見られると、そっちに行く気をなくすのですが…
などと言いつつ、気になる一店に入ってみると、それは全くの杞憂だった。
ここの土産屋のおっちゃんは作業に集中しており、むしろこっちに注意を払っていない。
聞いてみると軽石削り細工を作っているそうなのだ。
「原価がタダだから、絶対に赤字にならねえんだ。」と3回くらい言っていた。もうわかったって。
警官を引退して4年、ここで絵葉書を書いて売っているらしい。
特に開聞岳の絵がなかなか味のあるものだったので、数枚買ったらうまい棒もくれた。いい人じゃん。

そろそろいい時間になったので、本物の開聞岳を眺めながら昼食に向かう。
相方のユウキが行ってみたかったという、「そうめん流し」が目的地だ。
「そうめん流し」と言うのは聞いたことがなかった。「流しそうめん」じゃなくて?
気になって調べると、やっぱりそういう名前のものがあるらしい。
へえ、初耳だった。なにより、旅慣れていない相方がそういうのを知っていることに驚いた。
唐船峡そうめん流し。なんと市営らしい。
かなり田舎の方にあったが、駐車場は広く、そのほとんどが埋まっていた。
 第2駐車場の端の方にようやく空きを見つけて、奥へと進んでいく。
普通のレストランかと思ったのだが、門をくぐるといきなり森の中だった。
山間の庭園に店舗を構えているらしく、周りにはなんと小さな神社まであった。
更に驚くことに、小さなチョウザメが泳いでいた。こんな山の中で。
なんていうか、なんでもアリだな…というのが率直な感想だった。

ここはそうめんは勿論のこと、鯉料理が有名らしい。
しかし、通路脇の水路にまで鯉が泳いでいたのには思わず苦笑してしまった。
ホントになんでもアリだな。
注文して指定された番号の席につくと、円卓の中央で水がグルングルン回っていた。
なんとなく、大磯の流れるプールを思い出した。
なるほど、そうめん流し、ね…


Aセットは、そうめん、鯉あらい、マス塩焼、鯉こく、おにぎり2個というラインナップ。
鯉こくというのは、輪切りにした鯉を、味噌汁で煮た味噌煮込み料理のことだ。
鯉あらいは刺し身。
客は満員だったが、食事はものの10分で出てきた。
鯉料理は初めて食べたが…
どれも骨が多く、筋も固くて、正直あまり食べられたものではなかった。
いや、たまたま自分がハズレを引いただけかもしれないが…
結局一番美味かったのが、マスの塩焼き。

昔、新宿でジビエ料理を食べたときにも思ったけど、食用として常に食卓に上がる肉にはそれなりの理由があるんだなあと実感した。
ウサギやダチョウやワニも美味かったけど、結局は豚と牛には勝てないんですわ。
さて、もう昼休憩は終わっただろう。指宿温泉に戻る。
池田湖も唐船峡も指宿市内。アクセスは上々だ。
砂むし会館砂楽」は海沿いにある。
砂むし温泉の入浴方法(拡大して見てね!)。
内湯と露天風呂という構造はよくあると思うが、この露天風呂が砂むし風呂になった格好だ。
脱衣所で全裸の上に専用の浴衣を着て、そのまま外に出る。
ちょっと露出狂の気持ちがわかる。

砂むし風呂に行くと、スコップを持ったおばちゃんたちが待ち構えている。
これが本当の砂かけババアだな…などと思いつつ、指定された窪みに横たわる。
なんだ、知らずに来たが、ここは混浴じゃねえか!とどこかのオヤジが言っていたが、なるほど言われてみれば混浴である。

砂の温度は60℃を超え、かけられる砂の量は20kgに及ぶという。
確かに、肌が露出している部分はかなり熱いし、腕もろくに動かないほど重い。
海沿いだから海を見ながら…と思ったが、首が起きない。
テントの染みを数えながら体を温める。

マジで熱いので、10分くらいが限度と言われたが、結局20分くらいいた気がする。
普通の風呂とは違い、自然に布団に寝ているような体勢をとれるので、体への負担が少ない。
砂の枕もちょうどよい高さと固さなので、そのまま眠ってしまいそうだった。
砂から起き上がるには、腹筋だけでは無理だった。
唯一動く腕を先に地上に出して、体の上の砂をどけ、もぞもぞと這い出る。
ちょっとスリラーのPVっぽい。腕だけ先に出るのは正しかったのだ…
時刻は14時半。
さーてそろそろ鹿児島を出て阿蘇でも行くか…と思ったら、なんと所要時間が6時間と表示された。
甘かった。九州は北海道ほどではないがデカい。しかも山道も多いので、都市間の交通はかなり過酷だ。

かと言ってこの時間、そろそろ宿を決めないとマズい。
とりあえず阿蘇は明日に回して…と思ったら、熊本県内で宿が取れなかった。木曜日なのにだ。
いや、今まで当日に宿が取れていた方がおかしかったのかもしれないが、だからといって熊本県内で見つからないとは…
鹿児島県内の宿にしてしまうと、明日の阿蘇もかなり遅くなる。

というわけで、結構頭のおかしい作戦に出た。
なんと「7時間かかる」と表示された大分まで来てしまった。
いや今思うとなんでそんなことしたの…って感じだが、当時の自分たちはそういう判断を下したらしいのだから仕方がない。
実際には6時間で到着したのだから上出来だ。(何が?)
大分は別府にある「ひょうたん温泉」はミシュラン三つ星。
内湯・露天風呂も非常に広々としており、巨大な打たせ湯やら、印象的だった。今でもどのような構造だったか克明に思い出せる。
湯もそうだが、中庭が何かと充実している。
休憩所、食事スペース、特にユニークだったのは「温泉吸入」。
源泉から出る蒸気を吸い込むと喉に良いということで、風邪をひきっぱなしの二人はここぞとばかりにスチームに顔を埋めた。硫黄臭くて良い。
温泉卵も売っていた。
ざるに代金を入れて、自分で勝手に上げて、皿に盛って塩を振る。
こういう完全セルフサービスなシステムはなんとなく嬉しくなる。
宿は大分市内の「グリーンリッチホテル」へ。
ここも3000円台の安宿だ。

クソみたいな大移動をかましてしまったが、今日は日付が変わる前に布団に入ることが出来た。
明日には風邪治ってると良いな…

鹿児島市街1000-1130池田湖1200-1230唐船峡1300-1330砂むし温泉1430-2030別府2200-2230大分

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